2015年10月13日

まちなか図書館を考える(12)

(承前)

まちなか図書館を考える(12)

岐阜市立中央図書館の次に訪れたのは駅ビルにある
分館でした。ここは1000平米の床面積に約9万冊の
本が収蔵され、最大の特徴はファッションライブラリ
が設けられている点にあります。これは岐阜が服飾の
街である事を良く示しています。

開館時間は午前9時から午後9時まで、休館日は月に
一回で、それでも市の直営だそうです。ただし、職員
はいなくて嘱託との事。市街地中心部と言う事もあって、
高齢者の利用が多く、入り口には健康の為の散歩マップ
等のパンフレットが置かれていました。来館者数は帰宅
時間帯に掛かる午後3~7時がピークだそうです。

ファッションライブラリには業界新聞や海外雑誌が
多数置かれていて、スーツを着た会社員の利用が多い
そうです。また、入り口にあるショーウィンドウは
企画展示の他に市民への貸し出しも行っています。


最後に訪れたのは一宮市立図書館です。ここは駅ビル
の5~7階に図書館が入居しています。7000平米の床面積に
60万冊の本を収容可能で、内30万冊は自動倉庫に収納
されます。開館時間は午前9時から午後9時まで、年末年始、
祝休日の翌日の他に月二回の休館日があります。

ここの特徴の一つは、繊維関係だけで一つのジャンルを
持っている事で、分類の為に蔵書ラベルに特別な記号Sを
割り当てています。これは服飾の街である岐阜に対して、
繊維業者が多かった一宮の特性を表していると言えます。

自動倉庫には図書のサイズ毎にコンテナが用意され、
総計7524個のコンテナに30万冊を収容します。現在の所、
約20万冊入っているそうです。館内はLEDによる間接照明が
多用され、その色は年配の方に優しい様に配慮されている
と言う事でした。

図書館の運営には市職員が9名(内、司書が3名)関わって
います。業務の多くはTRC(図書館流通センター)に委託
され、年間の予算は1億9000万円位。TRCの方も半数
以上が司書資格を持っているそうです。

前の中央図書館は駅から1km位の距離に有ったのを駅に
移設した事で、以前図書館に来ていなかった層を開拓
できたとの事。特に一宮は合併で市域が広がった為、
どこに図書館が有るのか知らない人が多かったのが、
駅に移設した事で認知度が上がった様です。

市の人口38万人の内17万人が図書館に登録している
ものの、それでも木曽川近辺の人には余り訪れやすい
場所では無く、羽島近辺の人は尾西図書館の利用が多い
との事でした。また、同じ建物内にビジネス支援センター
が入っていますが、ビジネス支援講座の連携はまだ始まった
ばかりとの事。


今回訪問した図書館と、現在検討されている、豊橋の
「まちなか図書館」とを一概に比較する事はできませんが、
「まちなか図書館」で計画されている床面積3~4000平米で
蔵書10万冊はいかにも少ないかなと思いました。

また、市による直営でも業者への委託でも午前9時から
午後9時までの開館時間を確保できているので、直営が
可能であればその方が望ましいと思いました。

駅の中ではないにしても、駅から近い立地は図書館に
人が集まるには好条件なので活かして行きたい所です。

各図書館とも市の特徴を示す展示やコレクションが有る
のも良いと思いました。豊橋だったら今は花卉類になるの
でしょうか。

しかし、何よりも成功の鍵を握っているのは市民の参加で、
各図書館ともそれが有る様に感じられました。単に本を読む
為だけではなくて、図書館を通じて学んだ事から、人々が
何らかの表現活動を行う事で、そこに人が集まり、賑わいが
生まれるのではないかと考えます。

(この項終わり)


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Posted by ttakeo at 22:19│Comments(0)文化
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