2016年09月05日

岡本真氏講演会「未来の図書館、はじめませんか?」

岡本真氏講演会「未来の図書館、はじめませんか?」

去る8月26日金曜日にカリオンビルで、自分も参加し
ている豊橋まちなか図書館倶楽部で岡本真氏講演会
「未来の図書館、はじめませんか?」を開催しました。
平日の午後、しかも有料の講演会なのでどれだけの人が
集まるか心配でしたが、有難い事に45名の方々に
参加いただきました。

講師の岡本真氏は、丸山真男の孫弟子に当たる人で、
Yahoo知恵袋を開発し、その後は社会に学問を生かす為
の会社、アカデミック・リソース・ガイド社を興し現在
に至ります。

講演は、自身の学問的なルーツ、現在の立ち位置の説明
から始まり、日本社会の分析とその中での図書館の果た
すべき役割についての考察と続きました。日本では少子
高齢化が急激に進行している為に、年金制度は現状維持
できないであろう見通し、民間でも現在は繁栄している
モールは人口増加を前提としたビジネスモデルである
為、衰退を免れないであろう事、東海地区にいては分か
らないかも知れないが、九州・中四国地方の都市から人
が居なくなっている。

高度成長期に作られた公共施設の更新時期が迫ってい
て、特に耐震基準改定以前の建物については、熊本震災
以後、震度7の地震が2回来る可能性が否定できなく
なったので、改築が急がれている。

公共施設の中でも図書館は無料で利用でき、二週間の
貸出期間によってリピーターが期待できる等、近年まち
づくりの中核として期待されている。しかし、地方自治
体の税収は不足しがちな為、財源を民間から確保しなが
ら施設を整備するPPPと言う方式に注目が集まっている。

公共図書館の建て替えに当たっては、旧来の様に図書貸
出の様な中核機能だけを追求するわけにいかなくなって
いて、例えばゲームができる図書館と言うのも考え得る。
何故なら、その普及に伴って近年はゲームも教養の一つ
に考えられ、若者の職業選択にも関わって来ているから。

また、大学図書館などに付設される共同学習空間、ラー
ニングコモンズの様にネットワーク環境を自由に使える
機能も求められるだろう。

閲覧、貸出の機能の他に学習の場、語らいの場としての
機能が設けられる事によって、図書館の空間に静寂さを
求める事が難しくなる。明治大学和泉図書館では、各階
の家具や照明を工夫する事によって静寂さをコントロー
ルしている。また、富山市図書館では吹き抜けによって
他の階の人が見える様にすることで、利用者が騒音を許
容できる工夫がなされている。

最後に「まちなか図書館」についても注目しており、
市に対する提言として、
1) 指定管理者制度については、指定管理者に丸投げする
事で、市側にノウハウが蓄積されず、また中央の企業が
請け負う為に市外に税金を流出させてしまう等の問題が
ある。
2) 図書館としての新規性の高さを狙うと、開館直後から
時代遅れになるのが始まる可能性がある。

市民に対する提言としては、自身が住む神奈川県の県立
図書館廃止の政策を変えた時の体験から、個別の項目に
ついてではなく、ある程度まとまった形での提案を行う
事が必要との指摘を頂きました。

Q&A

Q 利用者減少は世代的なものか?
A 図書館を利用していた世代が利用者から外れている。
新たな世代が図書館を利用する様な投資が必要。

Q 建物の寿命をどう考えるか?
A 日本は新たな災害がある度に耐震基準が変わって
いってしまうので、50年くらいが限界ではないか。

Q 日本の公共政策は資金の手当が不足しているのではないか。
A 文教予算に一般予算の1%は必要。そういう政策を
取る候補者に投票しよう。

Q 課題を解決するためには何が必要
A 「私が欲しい〇〇」では駄目。「〇〇にとって必要」の形の
提案である必要がある。余所者に何を与えられるか。その事に
よって、余所者が定住者へと変わる。


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Posted by ttakeo at 18:37│Comments(0)文化
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